オイルシールの密封メカニズム
オイルシールとOリング・ガスケットの違い
オイルシールの密封メカニズムはOリング・ガスケットと比較して複雑です。Oリング・ガスケットは、機械・装置の静止する隙間をゴム(樹脂だったりもする)で塞くことにより密封しますが、オイルシールは回転運動する機械・装置の隙間に装着され、ハウジングに固定された状態で、主リップと呼ばれる三角形状ゴムの先端(=主リップ先端という)を、回転運動するシャフトに押し当てながら(=しゅう動しながら)オイルなどを密封します(図1)。何故、シャフトが回転運動しているのに流体であるオイルを密封することができるのでしょうか。不思議ですよね。

図1
オイルシールの密封メカニズム(ポンプ作用)
その答えは、主リップ先端とシャフトとの間に形成する油膜において、ポンプ作用と呼ばれる一方向のオイルの流れが生じるからです。要は、大気側に漏れ出ようとするオイルを押し戻す力が働いているのです(図2)。油膜によって主リップ先端の潤滑を保持しながら、ポンプ作用による密封性を確保しています。ポンプ作用を定量化した値をポンプ量と呼び、ポンプ量の多い/少ないは主リップのわずかな設計差によって大きく変動します。
基本的に「ポンプ量が多い=高い密封性能を有する」と考えるため、オイルシールの設計者が主リップ形状を決定する際に注力するポイントの一つです。

図2
以下の関連記事についてもご参照下さい。
【記事】オイルシールのポンプ量増加の方法 | MOKUオイルシール
【記事】オイルシールの緊迫力の重要性 | MOKUオイルシール
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