1. 漏れ原因を特定または推定できる可能性がある
オイルシールの現品調査を行うことによって、調査品が密封性能を維持した状態か、または密封性能は低下している状態なのかを推定することができます。
実機で漏れが発生したオイルシールを送付いただくことで、漏れ原因に関して、オイルシールメーカーの研究部/品質保証部と同様の視点で見解・考察を提示させていただきます。
尚、基本的な調査項目は以下となります。
調査1:外観調査
外観調査によって、オイルシールの変形・損傷および外周部の圧入異常などを調査します。
オイルシールの変形・損傷がリップ部にまで及んでいる場合は、リップしゅう動面の詳細調査を行うことで、同変形・損傷が実機運転終了後に発生したものなのか、それとも実機運転時には既に発生していたものなのかを推定することができます。仮に、実機運転時には既に変形・損傷が発生していたと推定される場合は、これらが漏れ原因に直結するため、変形・損傷の発生原因について深掘り調査を行っていきます。
調査2:リップ内径寸法
リップ内径寸法を測定することによって、リップの残留しめしろを調査します。
実機における偏心量の情報を基に、リップとして密封性能を維持することができる必要最低しめしろを有しているか判断します。必要最低しめしろを下回っている、または近づいている場合は、しめしろ低下が漏れ原因と推定されるため、しめしろ低下の発生原因について深掘り調査を行っていきます。
調査3:リップしゅう動面観察・撮影
リップしゅう動面を観察することによって、漏れ原因となる異常モードの有無を調査します。オイルシールに関するノウハウ・知見を最も必要とする調査項目が、この『リップしゅう動面調査』です。
わずかに痕跡のあるリップしゅう動面の異常モードを発見するとともに、多種多様な異常モードからの見極めを行います。一例として、条痕/クラック/ブリスタ/スティックスリップ痕などがあります。漏れ原因と推定される異常モードを発生した場合は、同異常モードの発生原因について深掘り調査を行っていきます。
また、リップしゅうしゅう動面の撮影も行いますので、異常モードの外観を報告書にまとめて提示することができます。
調査4:リップ摩耗幅
リップ摩耗幅を測定することによって、リップの摩耗形態における異常有無を調査します。
異常と判断する摩耗形態の代表例として、リップの摩耗幅大/偏摩耗などがあります。これら摩耗形態が認められた場合は、発生原因について深掘り調査を行っていきます。
調査5:リップ硬化状態
リップ硬化状態を調査することによって、リップの偏心追随性有無を推定します。
硬化進行のパターンとして、リップ先端のみが硬化傾向にある場合やリップ全体が硬化傾向にある場合などがあり、リップとして偏心追随性を維持できる状態か、それとも低下している状態かを考察・推定します。リップ硬化が進行している場合は、硬化原因について深掘り調査を行っていきます。
調査6:調査結果まとめ/考察
上記(1)~(5)の調査結果より、オイルシールの密封性能有無や漏れ原因などを総合判断します。総合判断として、密封性能が低下している状態であったり、何らかの異常点が認められた場合には、それらが発生した原因についても考察を行い、調査レポートにまとめて見解をご報告いたします。
参考までに、オイルシールの漏れ要因をまとめた記事をご紹介します。
【記事】【メーカー研究者執筆】オイルシール漏れ要因まとめ – MOKUオイルシール
2. 率直な調査結果をご報告できる
オイルシールメーカーにて現品調査を実施した場合、メーカー側の諸事情を勘案した調査結果のまとめ・考察となる可能性があります。
MOKUオイルシールは、オイルシールメーカーではないからこそ、メーカーを問わずありのまま率直な調査結果をご報告いたします。これは調査依頼をされるお客様にとって、非常に大きいメリットであると考えています。